エンジンにおける冷却系統はエンジンの性能を高水準に維持する役割を持つとともに、その耐久性を高める上でも大きく関わってきます。特に近年のように高い出力でエンジンを使う場合には、充分にエンジンを冷やしてあげることが重要で、これがうまく行われないと、各部で摩耗や焼き付きを引き起こしてしまうこともあるのです。今回は、こうした冷却系についてご説明します。
■冷却系統の構造と機能
現在の冷却系は、清水による間接冷却が主流になっています。ヤマハでも外国向けモデルと一部の国内小型モデルを除いてはエンジンの使い方や環境条件によって冷却能力が変わらないように、清水による間接冷却を採用しています。図1に代表的な冷却系統を示しましたので、簡単にその構造と機能について説明します。
海水の流れは、船底のストレーナー、キングストンバルブ、海水こし器を通してエンジンに入ります。エンジンの中ではエアクーラー、マリンギアのオイルクーラーを冷却した後に、熱交換機に入り清水を冷却し、湿式排気管やスルハル金具を通って船外に排出されます。また清水は、エンジン各部を冷却した後、サーモスタットケースに入り、設定以上の温度になるとサーモスタットが開き、熱交換器に入って海水により冷却されます。その後、清水ポンプにより再びエンジン各部を冷却するのです。
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■冷却系のトラブル
冷却系には、非常にたくさんの部品が関係しています。また、海水という、腐蝕を起こしやすい要素が含まれているため、使用状況によってはトラブルが起きる可能性もありますが、冷却系統の場合は、他と同じように初期症状が現れやすいので、日頃の点検がトラブルを未然に防ぐことにつながります。
次に、トラブル防止や対応についてまとめましたので参考にしてください。
(1)日常点検
・清水は適量に入っているか。
・海水こし器の詰まりはないか。
・海水及び清水ポンプ駆動ベルトの緩みや損傷は無いか。
・エンジン各部の水漏れはないか。
(2)定期点検
・熱交換器の内部に汚れや詰まりが無いか。
・海水ポンプのインペラに破損は無いか。
それでも警報ブザーが鳴るときがあります。
そんな時には…
(3)海水流量センサー警報(海水が規定量流れていません)
・キングストンバルブの開け忘れはないか。
・船底でビニール等、なにか吸い込んでいないか。
(可能であれば2系統の確保が望ましいです)
(4)オーバーヒート警報(清水温度が異常に上昇しています)
・サーモスタットは正常に作動しているか。
最初に述べたように、エンジンをいつも最適の状態にしておくことが長期間の使用に耐えられる、最も基本的な取り扱い方となります。冷却系はこまめな点検が後々のトラブルを回避することにつながりますので、まずは日常点検から始めることをお勧めします。
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